2007年 12月 20日

『リアル』

本日の一冊 『リアル』


やっと7巻出た。

あんまり漫画は読まないが、1巻目読んだときからハマッた。


主人公戸川清春。父に強制的にピアノをやらされるが、中学時代に陸上と出会う。その後めきめきと頭角を現し、将来を有望視されるスプリンターとなる。しかし、その右足は骨肉主に犯され、中学全国大会決勝で優勝を目前にしてその足は動かなくなる。その後右足を切断、彼を待っていたのは将来への不安、突然目の前の目標を失った脱力感、現実を受入れられない自分との戦いであった。ある二人の男と出会うまでは・・・。


高橋久信。高校のバスケ部のエース。成績・運動能力・容貌とも優れていたため周囲から一目置かれる存在。それゆえ傲慢、利己主義、自信家で人望は薄い。周りは彼に言われるがまま。典型的なワンマンタイプ。しかし、ある時交通事故で脊椎損傷。下半身不随となる。過去の栄光にすがり、自らをAランクと呼んでいた頃の自分と、今の自分のギャップを受入れられない。仲間にも見すてられ生きる希望を見失っていく。


野宮朋美。高橋とはチームメイトで天敵。風貌に似合わず、純粋で特にバスケに対しては熱い一面を持つ準主人公。暴力事件で退学となり、その後たまたまナンパした女の子をバイクに乗せたまま交通事故。この事故により彼女は半身不随。責任を感じ押しつぶされそうになるが、車椅子バスケに打ち込む戸川をみて、自分も前に進まなければと決心する。そんな気持ちとは裏腹に一歩踏み出そうとする時に限って挫折し、ダメな自分に自信をなくし自己嫌悪に陥る。


この3人の人間ドラマだが、いつもと変わらない生活から、一転して人生を180度変えてしまうような大きな事故。
そんな現実を目の前にした人間の悲痛な思いが、目を背けたくなるほどリアルに描かれている。


もしも明日、自分が一生自らの足で歩くことが出来ないと宣告を受けたら、はたして前を向いて生きていけるだろうか?

もう二度とその足で、息子と一緒に公園を走り回ることが出来ないと知ったら。
もう二度とその足でグランドに立ち、仲間と一緒に野球をすることが出来ないと知ったら。
もう二度とその足で、妻と同じ歩幅で歩んでいくことが出来ないと知ったら。
自分が家族の重荷になっていることを知ったら・・・。
はたして自分は、もう一度前を向いて生きていけるだろうか・・・。

彼らの1/1000。いや1/10000かも知れないが、私も今不安を抱いている。手の靭帯断裂でバットが振れない。このまま一生野球が出来なくなるのか・・・、皆と一生にプレー出来なくなるのかと思うと気が重くなる。そんなときだから、1/1000、1/10000かも知れないが彼らの気持ちがわかる様な気がする。
大小はあるだろうが、人は誰でも悩みを抱え生きている。しかし、現在の自分を受け入れそれに立ち向かっていかなければならない。簡単なことではないが、立ち止まりうずくまってしまったらそれでおしまいだ。自分の立っているこの道は、その先は必ずいいところにつながっていると信じ、一歩一歩進んでいかなければならない。


元ジャイアンツの桑田真澄はこう言っている。
『自分の目の前で起こるすべてのことは、自分にとって常にパーフェクトである』と。
どういうことか。
自分が最善を尽くし(ここが肝心)、その結果目の前で起こるものごと、たとえ辛い出来事であっても今の自分にとってはそれが最善のできごと、『道』であるといっている。

リアルで言うならば、彼ら3人は大きな失意の中にいる。しかし、今現在の自分を受け入れ何かに向かい全力で進み始めた時、その道の先には五体満足で生きていては得られなかった何かがまっている。つまりは下半身不随や事故という困難も、今の彼らにとっては必要だった。そうだと信じて努力しなさいということである。それが桑田真澄の言う『自分の目の前で起こるすべてのことは、自分にとって常にパーフェクト』なのである。


そしてもう一つ
作品の中で、半身不随になり自分を完全に見失った高橋久信が、かつての恩師と出会い声を掛けられる。
『マジックジョンソンがMIVと発表した時、何でよりによってマジックが!と思った。あれ以来良く考えるんだ。その神様は、この人間だったら乗越えられる。そう判断してマジックを選んだんじゃないかって。その神様が久信-お前のことも見てるんじゃないのかって。このコならきっと乗越えられると判断してお前を選んだ・・・。』
神様は乗越えられない試練を与えない。と励ましている。おそらくこの言葉の真意は『神様がわざわざ試練を与えるのには理由がある。お前ががこの試練を乗越えた時、平々凡々と一生を過ごしては行き着くことの出来なかった自分に出会うことが出来る。もっと高いところにいけるんだ。』ということを言いたかったのだと思う。

いずれにしても人間は、自分の今を(リアル)受け入れて生きて行かなければならない。、今出来ることに全力を尽くしなさい。過去でも未来でもなく現在(リアル)を精一杯生きれば道はおのずと開け、その先には出合ったことのない自分の姿が待っている。
そんなことを作者は伝えたいのかなと感じた。


何とかして先に進もうともがき苦しむ三人の若者。この苦難の先に何が待っているのか楽しみである。



それにしても1年に1巻。待ちどうしすぎる・・・。
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# by sleggar1121 | 2007-12-20 23:24 | その他 | Comments(0)
2007年 10月 21日

『試練が人を磨く』桑田真澄著

本日の一冊 『試練が人を磨く』桑田真澄著


桑田真澄。
ジャイアンツでエースナンバーの18番を背負う男。

高校時代はあの清原と共に、5度の甲子園出場で全国制覇2回、準優勝2回ベスト4が1回という輝かしい戦歴を誇る。


『ストイックで実直』
私の持つ桑田真澄へのイメージである。

この本にも書いてあるが、彼の生きる目的は『自分を磨く』こと。『人間力』を磨くことだという。
人間力を簡単に言えば人間の器といったところだろうか。

野球を通して人間を磨く。
彼は常にこのことを念頭において日々の生活を送っている。
くどいくらいにこのことを書いている。

人生の中で起こるすべての物事は、そのときの自分にとって最善であると彼は言っている。
いいことでも、悪いことでも自分にとってその出来事・結果がパーフェクト。そう信じて目の前にある目標に向かって全力でひた走る。
悪い事であっても、辛いことであってもそれは将来必ず自分のところへ帰ってくる。試練や困難は自分を磨く砥石である。
だから彼は困難な道を行くことを恐れない。
むしろ困難こそ自分を高めるための唯一の方法だと考えている。

人間は生きている中でよく二者択一を迫られる。
そんな時彼は迷わず困難な道を選ぶという。(サッカー解説者・評論家の風間さんも同じ事を言っていた。)
それが自分を一回り大きくしてくれると考えるからだ。

そうして努力した結果、いい成績が出なくても彼は動じない。
結果とは結果でしかなく、出た結果に対して彼は執着しない。
そこへ至るまでのプロセスが大事であって、結果とは神様が与えるおまけのようなものと言っている。
悪い結果が出ようとも、そこに至るまで自分が全力を尽くして努力したならば、その悪い結果もまた将来の自分へプラスになって帰ってくる。
目先の結果に一喜一憂せず、10年後こういう選手になっていたいという目標に向かって進んでいく。


もう一つ、彼が終始この本の中で言っているのは、『感謝の気持ち』。

悪い結果、たとえば自分が投げてる時に見方がエラーしても、いくら頑張っても試合で自分のピッチングが出来なくても、
『あぁ、ありがたい。コノ経験がきっと将来いいことにつながる。コレは自分を磨くための試練なんだ。』と前向きに考える。本気でそう考える。
何に対しても常に感謝、感謝の気持ちで接する。
だから何があっても彼は怒らない。他人を責めるような事はしない。そう心がけているそうだ。


この中では全然伝えきれないが、とにかく彼の野球に対する姿勢、野球人である前に人間として大きくなりたいという意欲は異常なまでにストイックである。

おそらくはたから見れば変人だろう。間違いない。
そのくらい節制した生活を送っている。
野球に対する姿勢、研究熱心さ、何をとっても12球団屈指であろう。その度合いがハンパではない。

常に高いところへ目標を置き、その目標達成ために全力で努力する姿は心を打たれる。
2度にわたり計3本の靭帯断裂にもかかわらず、その前向きな気持ちと努力、研究熱心さで最後にはメジャーの土を踏んでいる。

メジャーの土を踏んだことが、メジャーリーガー達の仲間入りをした事が成功なのではない。
そこに至るまで自分なりに努力し、困難に立ち向かい、自分を磨き続けてきたというプロセスが彼にとっての成功なのである。
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# by sleggar1121 | 2007-10-21 23:27 | その他 | Comments(0)